2010年9月13日月曜日

聴診(Ⅰ音とⅡ音)

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クラスにもポツリポツリと聴診器を持ち始めたヒトが増えてきました。
ということで、今日は最も基本的なI音とII音の聴き方をおさらい。

その前にI音・II音って?
I音…僧帽弁(と三尖弁)閉鎖の直後に生じる振動
II音…大動脈弁(と肺動脈弁)閉鎖の直後に生じる振動

典型的な聴診の順序を示します。
まず、指で胸の心尖拍動(一番ドクンドクンって動くところ)を触知しましょう。そしてその触知した部位に聴診器(膜型)を当てます。もし触知できなかったら、左鎖骨中線第五肋間に聴診器を当てます。
次に胸骨左縁第四肋間、胸骨左縁第三肋間(Erb領域)、胸骨左縁第二肋間、胸骨右縁第二肋間と移動させます(最初は膜型、次にベル型)。
心尖部では ドントッ ドントッ ドントッ と聞こえてくるはずです。
若いヒト(十代までかしら)なら ドントトン ドントトン と聞こえてきます(この「トン」は生理的Ⅲ音)。残念ながらワタクシは若くないので聴こえませんでした…。親戚など、近くに子供がいれば聴いてみて下さい。

さて話を戻して、、、 ドントッ のドンがI音で、トッがII音です。
もうちょっと分かりやすくすると…
次に聴こえてくる音との時間が短い方がI音。長い方がII音。聴こえ方を示すと
①② ①② ①② ①②
こんな感じになります。
それでも分からなければ、心尖部から心基部(胸骨左縁第二肋間や胸骨右縁第二肋間)に移行していって、大きくなっていくのがII音ということになります。
ちなみに正常の場合、心尖部ではI音はII音よりも大きく(心尖部は僧帽弁により近いため)、心基部ではII音の方が大きくなります(心基部は大動脈弁により近いため)。
こんな風にすると、I音とII音は判別できます。聴診器をお持ちの方、お試しを…。

追補:それよりも楽な方法として、聴診と同時に頚動脈を触知するというのもあります。I音→頚動脈拍動→II音の順番なので分かりやすいです。(2007年8月15日)

■困り事:心尖部でI音よりもII音の方が大きく聞こえる…。
ということは、I音が小さいかII音が大きくなっているかのどちらか。
つまり「I音の減弱」か「II音の亢進」を疑います。
I音の減弱では左心室の機能低下を、II音の亢進では持続性の高血圧を考えます。(がしかし、追補のエビデンスをご覧下さい)

でもでも、I音の減弱かII音の亢進かなんてワカランよ…。
そんな時は、ベル型と膜型とを切り替えてみましょう。
I音がベル型では聴かれるけど膜型では聴きにくい、こういう時にI音の減弱を疑います。それ以外ではII音の亢進、となる訳ですな。

■面白事:II音の生理的分裂。
注意深く聴くと、心基部でII音の分裂が分かります(心尖部では聴こえません)。
正常では息を吸った時(吸気時)に ドントロン ドントロン ドントロン と聴こえ、吐いた時(呼気時)は ドントッ ドントッ ドントッ と聴こえるはずです。
でも最初は、息を吸った時の雑音がかなり邪魔でとてつもなく聴きづらいので、息を止めてやや前かがみになって(自分の心音を聴いている時。他のヒトを聴診している時は前かがみになってもらって)聴いてみましょう。すると聴こえてきます。でもあまりはっきりしないヒトもいるそうですが。


ちょっとポイント:心電図異常(不完全右脚ブロック)があり、II音が呼気時でも同じくらい分裂している場合(固定性分裂)は心房中隔欠損を疑います。



皆さんの聴診の一助になってもらえればと思いますが、何か間違ってる事を書いているかもしれませんので、鵜呑みになさらずに本で確認して下さいまし…。



追補:I音・II音のエビデンス
①リズムが正常にもかかわらずI音の強さが変わっていたら、房室解離を強く示唆(LR+24.4)
②意外にも、IIpの亢進は肺高血圧を示唆しない!IIpの亢進がなくとも肺高血圧は否定できない!(感度58-96%、特異度19-46%、LR+NS、LR-NS)
③触知できるIIp音は、肺高血圧を示唆(LR+3.6)
④IIp音が触知できない場合、肺高血圧は否定的(LR-0.05)

②が本当に意外。でも国試でII音亢進と出たら、肺高血圧を考えましょう。
(2008年11月17日)


ちなみに、LR(尤度比)については、「Rebound Tendernessは有用なのか」の記事内の一番下をご覧下さいRead more at m03a076d.exblog.jp
 

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